マンション管理組合の株式会社化
“2020年問題”東京のマンションが危ない 2025年、東京も人口減少へ(PRESIDENTオンライン 大前研一 2017-7-31記事)
” ところが昨今は管理組合がないマンションや住民の高齢化によって役員のなり手不足に悩む管理組合が非常に多い。また住民の高齢化や空室の増加は管理費や修繕積立金の滞納、修繕資金不足という事態も招く。結果、組合が機能しないために老朽化しても修繕が適切になされず、共有スペースのメンテナンスもままならない管理不全マンションが全国で増加しているのだ。管理不全マンションは経年劣化による老朽化が著しく、スラム化につながりかねない。スラム化して治安や環境衛生が悪化すれば、マンションの資産価値はさらに下落する。
(中略)
組合を意思決定ができる組織に変えるにはどうすればいいか。一番手っ取り早いのは商法上の意思決定の仕組みを取り入れることだ。つまり、株式会社化である。株式会社であれば50%超の議決権で意思決定できるから、物事が前に進む。マンションの管理組合を株式会社化して私が社長になったら、たとえば「建て替えて倍の規模のマンションにしましょう」と提案する。今時、都心部のマンションなら容積率は建てた当時の倍になっている。7階建てのマンションなら14階建てにできるのだ。当然、地下も大きく取って、非常用電源や食料備蓄庫なども完備する。”
引用先の記事では、管理不全マンションや駅前商店街の活性化の対策として、マンション管理組合や商店街の振興組合の株式会社化を主張しています。確かに、組合を株式会社化すれば大胆かつスピーディーな意思決定を行るでしょう。新たな資金調達も可能かもしれません。非常に面白い考え方だと思います。
しかし、ことマンションの管理組合の株式会社化には異論があります。大前氏が主張するような株式会社化は、すべてのマンション管理組合に適用できず、管理不全マンションの増加を食い止めることはできません。株式会社化可能なマンションとは、立地が良く、修繕積立金が漏れなく適切に積み立てられていて、建て替えによって資産価値の増加が見込めるような物件でしょう。そもそも、そんな優良物件は株式会社化せずとも適正に管理されていくはずです。
これから深刻化する超高齢化と人口減少で問題となるのは、株式会社化不可能なマンションです。立地が悪く、区分所有者が一斉に高齢化して資力が乏しく、例え立替しても資産価値の増加が全く見込めないマンションです。資金の増加が全く見込めないような事業に資金を投じる投資家はいません。つまり、管理組合の株式会社化というアイデアは、スラム化するようなマンションの処方箋になりえないと思います。
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