流動性リスクを取ってはいけない
マイホームが“負動産”に 「逃げ切り世代」と「取り残され世代」の幸福格差 マイホーム価値革命 下(文春オンライン 牧野 知弘 2017-8-13記事)
” 特に郊外戸建て住宅は、価格が暴落しているだけでなく、すでに流通性すら失っているエリアが続出している。こんな環境下でマイホームを相続してしまうと、税金や住宅管理などの相当額の維持管理費用がかかる。首都圏郊外の住宅用地であれば固定資産税・都市計画税は年間15万円から20万円程度の負担になる。いらないからといって解体更地化してしまえば、税金は住宅用地の特例措置がなくなって何倍にも跳ね上がる。
賃貸に供することもできず、売却もままならない「負動産」を承継して「取り残され世代」はさらに苦労を背負い込むという構図にある。自分の負債どころか親が残したマイホームが負債化するなんて踏んだり蹴ったりだ。
(中略)
マイホーム信仰はもはや迷信の域に入っている。マイホームの値段の上下動に一喜一憂する時代はすでに過ぎ去り、自分がどのくらい「使い倒す」ことができるかという、消耗品の範疇に入ってきているのだ。
自分が使う家、と考えるならばマイホームはすべて利用価値によって評価される時代になっていくのではないか。子供や孫が引き継ぐわけでもないマイホームは、消耗品として自分が生きて使っている期間で最高の価値を生み出すものであると考えれば、自らの人生のステージの中でそれぞれの時代で適合する住宅を気軽に選択すればよいということになる。
マイホームは買わなければならない、そろそろこの日本人の多くを呪縛している概念を変える時が来ているのだ。”
株式、外貨などの資産購入では様々なリスクが存在します。数ある資産購入リスクの中で”流動性リスク”だけは取ってはいけないと個人的に考えています。自己居住が目的の不動産購入であっても考え方は同じです。むしろそのような不動産こそ、流動性リスクを最も意識しなければならない資産と言えるでしょう。
なぜなら、不動産の特徴として、所有しているだけで固定資産税がかかるからです。売りたくても売れない不動産を所有するということは、資産を所有しているのではなく、実態としては負債を背負っていることになります。流動性を完全に失った不動産の恐ろしさは、バブル期に林立したリゾートマンションを見れば一目瞭然。流動性を失った不動産は完全に負債であり、負動産などと揶揄されています。そして同じことが郊外のニュータウンを中心に発生し、首都圏では、国道16号線の外側から逆ドーナツ化現象が進んでいます。もはや不可避の現象です。
こんな状況下で郊外にマイホーム購入は狂気の沙汰。相変わらずディベロッパーや住宅メーカーはキラキラした夢を売り物にしていますが、不動産購入は常に冷静な目と頭脳で判断しなければなりません。30年後、その不動産は売れるのか? たとえ売るつもりがなくとも、流動性がマイホーム購入の最重要課題だと思います。
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