日本のスターバックスは「ドヤ顔」サードプレイス
スタバ満足度「圏外」に落ちた3つの理由 「意識高い系」への嫌悪も (PRESIDENT Online 2017-6-29記事)
” 「私はスタバも行くけど、基本的にタリーズ派。近くに2店舗あったらタリーズを選びます。理由の1つは、タリーズのドリンクが好きなことで、もう1つの理由は『スタバにいる、おしゃれな自分が好き』とファッション意識で考えている人が多いように見えるから。同じくくりにされたくないという心理もあります」
いわゆる"意識高い系"への嫌悪感だが、「一時期に比べて、先のとがった靴を履いてマックブックをカタカタ打つ客は減ったのではないか」(50代の男性編集者)という意見もある。”
スターバックスの経営戦略には「サードプレイス」というコンセプトがあります。自宅でもなく、職場でもなく、第三の場所という意味です。スターバックスは単にコーヒーを飲む場所ではなく、空間演出やリラックスを体験する場所というコンセプトです。
このコンセプトはシアトルを発祥に全米を席捲し、日本にも広がりました。過去にスターバックスの銀座店を利用した時の感動は忘れません。ゆったりとしたソファー、感じの良い設え、さりげない音楽、まさにサードプレイスそのものです。上質な経験が提供されていました。
スターバックスのコーヒーは高いと批判されますが、かつての銀座店で提供されていた経験価値は支払う金額を超えるものだったと思います。つまりコストよりもパフォーマンスが優れていました。よって高いとは感じず、むしろ安いと感じたほどです。
いま、こじかはスターバックスを利用しません。理由は一つ、こじかにとってのサードプレイスではなくなったからです。ただの高いコーヒーを提供する混雑した店に成り下がりました。こじかにとって、今のスターバックスが提供する経験価値・情緒的価値はゼロです。いや、むしろマイナスでしょうか。コーヒーという物質的価値だけでは他店と勝負になりません。リンク先記事の調査結果は頷けます。
ところで、スターバックスはサードプレイスという創業以来のコンセプトを捨てたのでしょうか? 捨てていないと思います。恐らくスターバックスは日本マーケットで店舗を拡大するにあたり、ターゲットとなる顧客を大胆に絞り込みました。スターバックスの新ターゲットは「意識高い系マック使い」と「おしゃれ大好きインスタ女子」。現在のスターバックスは彼ら彼女らにとっての「ドヤ顔」サードプレイスなのです。
簡単にいえば「ドヤ顔」代がコーヒーの代金に上乗せされているお店ということです。「ドヤ顔」で自尊心を満足させられる人にとっては相変わらず満足度が高い。こじかを含む大多数は「ドヤ顔」に価値を見出しませんから、顧客満足がランク外となるのも当然ですね。
スターバックスの悪口を言っているのではありません。個人的にはターゲットから外れて残念ではありますが、巧みなマーケティングに感心しています。創業以来のコンセプトを変えずに、世界的にもユニークな顧客層である「意識高い系」にターゲットを絞り売上を拡大する。スターバックスは日本独特の「ドヤ顔」市場を開拓したパイオニアなのです。
「ドヤ顔」市場は利益率が高く成長分野です。スターバックス以外のカフェチェーンも成長著しい「ドヤ顔」市場に参入してほしいですね。参入障壁は低いですよ。混雑緩和を期待しています。
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